★着雪量発達シミュレーション★

 電線の着雪発達は径間長により大きく変わります。

 これは、径間が長いほど径間中心部の回転による反発力(ねじれ剛性)が弱まり、少ない着雪で回転するためで、電線の難着雪性能を実験で評価するには、径間長を変えた膨大な実験が必要となります。

 このため、各定数を測定し有限要素法による着雪発達シミュレーションを開発しました。

 着雪発達シミュレーションは、電線に少しずつ着雪させ、その着雪によって発生する重心位置の変化を計算し、それによって発生したねじれモーメントを径間中心から積み上げ、さらに、端部からねじれ剛性によるねじれ量を計算するものです。

 その結果から新たにモーメントを計算し、安定するまで繰り返して真値を求めます。

 安定した条件で、電線と雪との剥離モーメントを求め、剥離がある場合は落雪後の重心から再度、電線のねじれを計算します。

 電線がねじれると、降雪方向からの投影面積・着雪角度が変わることから、その条件に合わせて着雪を繰り返して求めていくものです。

 これらの計算は厳密に行うと微分方程式となるが、今回開発したシミュレーションでは径間を1m間隔で分割して求める有限要素法の形式を採用しています。

 また、着雪による重心位置の計算はグラフィックで描いてスキャンすることにより求める方法を採用しています。

 着雪シュミレーション.zipをダウンロードし、適当な個所に解凍します。(「着雪シミュレーション」フォルダー内には、EXE・初期データが作られます) .Net高速版に更新

「着雪シュミレーション.exe」を起動すると下記の画面がでます。(電線と着雪画像は出ていない)

tyaku_a.png (37685 bytes)

@に示す電線種別を選択するとADに示す電線定数が自動的に読み込まれます。(現在までに測定の終わった電線の定数が登録されています。)

限界径間長は、デフォルトの設定のまま事前に計算した限界径間長無(筒雪が発生しないぎりぎりの長さ)を表します。

着雪条件のaを変えると計算結果が変わります。

bの着雪角度は90度は真上0度は真横からの降雪になります。風が強い条件ほど角度の数値を小さくします。

cの着雪量は1回あたりの着雪量です。dの比重は雪の比重で、最も発達しやすい比重は0.9とされています。(べとべとの雪)

eは着雪発達の形状を決める計算方法で、この値を変えるとfの補正係数も自動で変わり、実際の着雪形状に近い形を選ぶ。

「着雪」ボタンをクリックすると1回分の着雪を、「saisei.png (546 bytes)」をクリックすると連続計算を行う。

1回分の着雪計算で、径間端部から中心部まで、径間長/2の着雪計算を行う。

計算結果は下記の「径間画像」に示される。

keikan.png (79736 bytes)

着雪をさらに進めると筒雪になった部分は濃いグレーに、剥離する部分は茶色に着雪それる。

keikan2.png (136513 bytes)

剥離の起きた径間は次の画面で落ちた状態から着雪した状態に変わる。

keikan3.png (146570 bytes)

このようなシミュレーションを繰り返し、筒雪にならない最長の径間長が限界径間長となる。

限界径間長は剥離モーメントとねじれ剛性に大きく依存します。