VIPQ連続測定システム
電圧、電流、有効・無効電力の変化を連続測定するシステムです。

1.基本機能

メモリーハイコーダ等で波形を測定・保存し、VIPQを求める場合、データ保存の時間が未測定となるほか、膨大なデータが測定され、解析にも多くの時間を必要としていました。
このシステムは、PCに接続したAD変換器を通して、電圧電流波形を0.4ms間隔で取得し、リアルタイムでVIPQを演算、1秒毎の値を保存するシステムです。(データ保存は外部ストレージの劣化を防止のため10分間分まとめて保存)

AD変換器は潟^ートル工業のTUSB-1612ADSM (55,000円)を使用します。tusb-1612adsm-s.jpg (9731 bytes)

この変換器の分解能は12ビットで、16chの入力があります。

入力レンジはバイポーラで±0.1V〜±10V、ユニポーラで0.1V〜10Vあり、比較的豊富な入力レンジがあります。

電圧2ch・電流2ch×7で利用することにより最大7フィーダ分のVIPQを測定することができます。

電圧入力はPT出力を直接入れることができないためU_RDの超小型PT APT-2S(200V:1V)(2,000円×2)を使用して電圧を落として使います。

各入力は別売りのTUSB-1612ADSMアダプタボード T-ADP02(16,000円)に電流入力用にU_RDの極小型クランプ式交流電流センサCTL-7-CLS(1,100円×14)等を用いて測定します。CTの作り方は「6-2 変電所測定用小電流CT」を参照してください。

2.基本構成

        基本構成はWindowsPC(タブレットでもOK)にAD変換器、接続ボート、超小型PT、クランプセンサの組み合わせとなります。

構成図.jpg (125297 bytes)

結線は2電力計法の結線となります。

keesen.gif (7585 bytes)

3.測定ソフト

        測定するにはAD変換器マニュアルに従い変換機のドライバーをインストールし、AD変換器を接続ます。

        インストール後変換ソフト「SS計測2B.exe」をダウンロードし(右クリックで対象をファイルに保存)、任意のホルダーに保存します。

SS計測2B.exeを起動すると下記の画面が現れます。

Windows7は.NETフレームワーク3.5が標準のため動作しないことがあります。その場合(.NETフレームワークがインストールされていないエラーが出ます)は4.0をインストールする必要があります。⇒インストールはこちら インストール方法はこちら

初期.png (38097 bytes)

変換器の「ID」が「0」であることを確認して「Open」をクリックします。(30秒で自動スタートするので30秒以内に)

背面.png (14797 bytes)

「デバイスが見つかりません」とメッセージが出た場合はDIおよびケーブルの接続を確認してください。

正常にオープンできた場合は、ファイル保存先、入力レンジ、VT比、CT比を設定します。

「測定開始」をクリックすると下記のように画面になります。

VIPQ.png (126333 bytes)

「PP値」は最大・最少入力値の差になりますので、この値を見ながら入力レンジを確認します。(電流は値が大きく変化するため余裕を持った値に)

測定中は設定変更できません。一旦「Stop」をクリックして変更してください。

設定値はプログラムを終了させると保存されます。このため「Stop」「Close」をクリック後「×」で一旦閉じてください。

測定しないCHは「チェック」を外すことでデータ容量を節約できます。チェックは2chずつ連動し、中飛びはできません。

また、「2バンク計測」のチェックを付けると9-10chが2バンク目の電圧入力に変わり、2バンク同時測定ができます。

この時の最大測定フィーダは3フィーダ×2となります。

2B.png (38689 bytes)

無効電力の計算は50Hz・60Hzどちらでも測定できるようにするため、90度位相の異なる線間電圧・相電流の掛け算により求めています。このため相順が異なると正負が反転するため、「無効電力反転」チェックで補正してください。

その他の機能として「トリガー出力」きのうがあり、トリガーがかかると4秒分(約前1秒後3秒)の波形を保存したり、PIO(AD変換器のデジタル出力端子)を用いてメモハイにトリガー出力を出す機能があります。

変換データ後のデータはバイナリ形式で保存されるため、専用の読み込みは「SSデータ読み込み.xlsm」で読み込みます。

SSex.png (128641 bytes)

Excelシートにある「ファイル選択」をクリックし対象のファイルを読み込みます。

ファイル名は日にち毎に自動で作られ日付+バンク(AorB)+フィーダ数+"dat"の構成になります。

読み込みが完了すると下記のようになります。

ssex2.png (125799 bytes)

シートを付加し、再計算やグラフ処理も自由に行ってください。(加工したサンプルです。・・でかくて読めないかも)

4.使用上の注意点

変換器は1台のAD変換器を各チャンネルに順に高速で切り替えて測定しています。
AD変換機のキャパシタンスの影響でそのまま使うと前のチャンネル入力値の影響を色濃く受けます。
これを緩和するため各チャンネルに0.1μF(104)程度のコンデンサを追加してください。

20191114_172447.jpg (1024624 bytes)

AD変換器はPCとの相性なのか1週間に1ど程度PCが再起動することがあります。
このため、PCの自動ログインの設定と、スタートアップまたはタスクスケジューラ等によるソフトの自動起動を推奨します。
ソフトは30秒でデフォルト設定値で測定を開始します。