高分子碍子用漏れ電流計測システム

1.概要

 高分子碍子用漏れ電流計測システムは、漏れ電流を波形レベルで測定し、2.5kHz以上の高周波電流と、基本波電流、2.5kHz以下の高調波電流に分割し、高分子碍子で発生する劣化要因を分析するシステムである。

 また、同時に気象データも取り込みこれらの変化を自系列で保存する機能を有する。

 

2.システム構成image002.gif (3540 バイト)

 システムは出た処理用のPC(Windows2000)と、A/D変換カード(RATOC REX-5054B)、入力データ切替え装置、気象観測装置(DAVIS ウェザーモニターU)で構成される。

 A/D変換カードの入力は4CHであるが、気象観測装置と共用で使用するRS-232c信号を入力切替装置に送り、DTRRTS出力によりフォトMOSリレー(TLP227G)を動作させ、入力回路を切り替えることにより最大16CHの計測を可能としている。

3.ソフトウェアの処理
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 ソフトウェアではRS-232cポートのDTRRTSラインの電圧出力極性を順に切替え、入力チャンネル指定し、A/D変換カードにデータ変換を要求し、漏れ電流値を電圧値として取り込む。
 また、RS-232cポートのシリアル信号入出力により、気象観測装置と通信を行い、気象データを取り込む。
 各データ処理と保存は次のように行われる。

(1) 測定電流値処理

 A/D変換カードは4CH入力時の最高サンプリング速度である80μsでチャンネル当り1004データを取り込み、次の処理により各成分を分離する。

a.2.5kHz以上の成分を抽出
 3番目のデータから、その前後2つのデータを含め5データの平均値を4サイクル分(1000データ)求め、2.5kHzのハイカットデータを作る。
 そのデータと中心データとの差を求め、そり絶対値を累積し2.5kHz以上の電流クーロン値を求める。

b.直流分の抽出
 上記、ハイカットデータの平均を求め直流成分のクーロン値を求める。

c.基本波電流の抽出
 上記、ハイカットデータを離散フーリェ展開(DFT)により基本波成分の波高値を求め、その値をクーロン値に変換する。

d.高調波成分の抽出
 上記DFTによるsin波とcos波の波高値および直流成分から、これらの合成波形を作り出し、ハイカットデータとの差分の絶対値の累計から2.5kHz以下の高調波成分のクーロン値を求める。

e.全クーロン値の抽出
  元データの3番目から1002データの絶対値の合計から、総合のクーロン値を求める。

f.電流実効値の抽出
  元データの3番目から1002データの二乗和の合計から、実効値値を求める。

g.ピーク電流検出(追加機能)
  波形ピークが指定した4段階のレベルを超えたかを検出。指定した値を超えたクーロン値および、半サイクル単位での発生確率を測定する。

.(2)   気象データ処理

 気象観測装置にモニターモードのコマンドを送り、リアルタイムで気象データをダウンロード。その値から風向、風速、温度、湿度の平均値、雨量の累積値および最大風速を求める。

(3) データの保存

 上記、各電流・気象データは指定時間(160) 間隔で保存される。そのとき電流のクーロン値は1秒間累積値に変換して保存する。データ保存形式はバイナリとCSV選択可能。バイナリデータはExcelマクロで復元。
 波形データは指定時間(1360) 間隔および各チャンネル毎のトリーガ値によりバイナリデータ形式で保存が可能。

4.システム仕様

1) 電流入力:±5V,12ビットA/D変換,入力シャント抵抗:デフォルト330Ω変更可

2) 気象観測装置:コンプリートウェザーモニターU+ウェザーリンク

3) 入力切替:1〜4ch=DTR-,RTS+5〜8ch= DTR-,RTS-9〜12ch= DTR+,RTS-13〜16ch= DTR+,RTS+

入力切替装置回路図

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測定ソフトダウンロード(LHAファイル1,585kB)

バイナリデータ読み込みExcelダウンロード(LHAファイル292kB)

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